印度旅行記-8
あのカゴに乗るのは私!
ネパール人運転手の
ディヴ・ラム・ライはいい人だった
でもそれは
彼が少しおっちょこちょいなのとは
なんの関係も無いようだった
わざわざタクシーをチャーターしてまで
ジャイプルと云う街までやって来た最大の目的は
象に乗る事だった
ガイドブックによると
そこにあるアンベールと云う城の近辺で
観光用の象が発着しているとの事
僕らはディヴ・ラム・ライに地図を見せて
「ここに行きたい!」
と伝えた
彼は笑顔で
「OK!」
と応えた
道中には象が歩いているのが見え
僕らは期待に胸が膨らんだ
しかし
ディヴ・ラム・ライが連れて来たのは
見晴らしは結構だが
他には何にも無いような城跡
「象は?」
と聞いても
彼はただヘラヘラと笑っているだけ・・・
そして
(こんな恰好をしろ!)
と云う風に
左右の手の指を
首の後ろで組んで見せた
僕が言われるままにそうすると
ディヴ・ラム・ライは僕を背後から
そのままの姿勢で持ち上げて
背骨をポキポキと鳴らした
知っている人も多いはずだが
そうすると背骨が鳴って
すこぶる気持ちがいい
そして
ディヴ・ラム・ライは笑顔100%で言った
「リラックス!」
・・・・・・・
何だか目的に向かって
遮二無二動く自分が悪いのか?
とさえ思ってしまった
西に傾く太陽が
修行が足りん!
と言っているような気がした
結局僕らは
帰りも車の中から
象を眺めながら寂しく走っていた
ディヴ・ラム・ライだけが
相変わらずの笑顔だった
この人は自分がミスした事に
気付いているのかさえ疑問だった
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