印度旅行記-6
実は巨大建造物フェチです
タクシーをチャーターして
有名なタージ・マハルがある
アーグラと云う街に向かう途上での話
順調に走っていた車の車底から
突然「ガンッ」と云う巨大な音がした
その途端絵に描いたように車は減速し
とうとう走らなくなってしまった
運転手のネパール人は車を降り
車底を少し見てから僕らに笑顔で言った
「ノープロブラム!」
「何がじゃ?」
実際に車は全然動かない
前も後ろも地平線まで続く一本道
結局ネパール人は
「ヒッチハイクをして最寄の街まで行き
修理工員を呼んで戻ってくる」
と言い残して
誰かの車に拾われて行った
あわててもしょうが無かったし
何より僕たちは
インドでのアクシデントに少し慣れてきていた
しかし
一時間・・・二時間・・・と待っても
ネパール人は帰って来なかった
(これはもうダメかも・・・)
そう思い始めていた僕たち一向
とその時突然友人の一人が遠くを指さして
「何かあれ?」
と言った
見ると確かに
砂煙がモクモクと上がっている
そしてそれはゆっくりとではあるが
僕たちの方向に向かってきている
不気味だ・・・
もう何時間も
その場所に放置されて疲弊しているのに
次は得体の知れない何かが
ゆっくりと近寄ってくるなんて
普通はいい気がしない
やがて
どんどん近寄って来るモノの正体が見えた
何と今まで見たことも無いような
羊の大群
だったのだ
もともと羊なんてテレビでしか見たことなかったが
別に気味の悪いモノではない
しかし大群となると話は別のような気がした
疲労しきって正しい判断能力が
低下していた僕は一瞬
(逃げるべき?)
と云う意識がよぎったが
しかしまた冷静に考えてみると
(ただの羊だよな・・・)
と云う考えが浮かび
羊とは獰猛な動物なのか?何なのか?
よく判らなくなっていた
いよいよ目の前を通過する
おびただしい数の羊をしょうがないので数えてみた
モチロン
眠くなんてならない
羊たちは僕らを一瞥もせず過ぎ去って行き
また遠くで砂煙をあげていた
結局
ネパール人の運転手が
修理工員を連れて帰って来たのは
故障から4時間も経ってからの事だった
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