適材適所でない

L-00

2007年02月05日 19:11


下から上を見ると気持ちがいいのに・・・

「はじめまして、D社のMと申します」

まだ私がディレクターと呼ばれていた頃
出先から職場に戻ると
先輩とMさんがお話をしておりました

私より少し年上であろうMさん
前髪の後退が始まってはいますが
温和な人柄を偲ばせる笑顔

頂いた名刺を見ると
すぐには気付かなかったのですが
どうやら運転士のようです





えっとヘリコプターの・・・





~不安がよぎります~

「おい!お前明日Mさんの運転するヘリに乗って写真撮ってこい!」
と先輩の気軽な厳命

~BINGO!~

実は私
写真に多少の心得があるのです


本当はビデオ撮影のための空撮ですが
ヘリは一回飛ばすと
当時確か20~30万くらいしたので(忘れました)
貧乏根性で写真も撮らされるのです

私でも男子の端くれ
ある実験結果通り高い所が大の苦手で
地上3メートルくらいでもう
「またんき」(今回はこう呼ぶ)がヒヤヒヤいたします

かくして翌日
死刑執行のようにヘリに乗り込む私

ビデオカメラマンが
車で云う所の後部座席右側
私は左側に乗り込みます

がっちりシートベルトで体を固定してからテイクオフ!
右も左も窓全開なので爆音バリバリです


運転しているMさん
撮影しやすいようにという配慮から
目的地では機体を右に傾けるのです

つまり
私から見ればさっきまで横にいたビデオカメラマンが
右下の位置
そして開いている窓から(多分)一キロほど下に
航空写真そのまんまの下界が・・・
(書いてるだけで“またんき”ブルってます)

そこに突風
「おっと」って感じで機体がぶれます










「うぎゃあ~!死ぬ~!」










爆音で絶叫は誰にも届きません
もうだめだ・・・と何度思ったか分かりません

無事着陸するとまさに「チルダイ」です

あんなに高くから
私の「マブイ」は落ちてしまい
未だに戻ってきてないかもしれません

見かけた方は
連絡下さい





今度は別の日の空撮
私が台本書いたビデオだったので
さすがに乗るしかありませんでした

Mさん曰く
「私の横に乗って指示があれば言って下さい!」

もうヤケッパチな気分で
いわゆる助手席の位置に乗り込み
足元を見てびっくり

普通に座った状態で頭の真上から
つま先の辺りくらいまで
透明な素材で出来ているのです
つまり少し下見ただけで下界

(めまいが・・・)

そんな私の不安をよそにMさん笑顔で

「じゃ飛びます!」

だって
・・・この人の「またんき」ぶっ壊れてるんでしょうか?



て事で空中



足下に下界が見えるので
もう「またんき」がシュンと縮こまり
そこから鼓動さえ感じます

それでも気をしっかりと持ち
頭を仕事に集中させて映像を考えていると
多少思惑とは違う飛行ルートだったので
Mさんに指示しようと思い横を向くと
モノ凄い形相で運転しているMさんが居るのです

目は血走り
唇にはかすかな笑み?のような雰囲気
少し減った髪の毛も
何だか逆立っているように見えました
※イメージ

(こ・・・怖いこの人・・・)

と率直に思い
何の指示も出せませんでした

無事着陸して後Mさんは言いました




















「実は僕、高所恐怖症なんですヨ!」



・・・・・・・・・・・頭が混乱して
        Mさんを殴っていいんじゃないか
        と思ってしまいました

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