盗人二景
泥棒は嘘つきの終わりです
中学の頃
友人が怖い先輩方の酒席に呼ばれたそうです
場所は近所の不良ご用達の公園
一献酌み交わして語り合う為ではモチロン無くて
いわゆるパシリが必要との配慮からのご招待
用意した缶ビールはすぐに無くなり
その友人は先輩の誰かに
「ビールとってこい!」
という抽象的な命令を受けたそうです
とりに行く先は近所のマチヤグワァー
おばさんが店番をしている時は結構監視が厳しいけど
おじさんの時はぬるい
友人がチラッと覗くと
その晩はおじさんが店の奥に座っていました
(しめしめ・・・)と冷蔵庫の前に立つ友人
テレビに夢中で店内に人が居るのも気付いていないおじさん
冷蔵庫をそっと開け
計4~5本の瓶ビール調達に成功したそうです
手柄を確信して意気揚々とビールを持っていくとしかし
「お前、オープンは?」 ※オープン=栓抜き
と現実的なお怒り
仕方が無いので友人は再度マチヤグワァーへ
今度は缶ビールを盗ろうとした友人
何故か律儀に先ほどの瓶ビールを返品すべく持参しており
それを冷蔵庫に戻す事から始めた所
店の奥から
「いらっしゃい!」
とおじさんの声
おじさんだって置物じゃあ無いのでいつかは動きます
結局何も出来ずに公園へ戻り
先輩からは軽く可愛がられたそうです
(栓抜きとればよかったのに・・・)
話し変わって
私の浪人時代
友人と連れ立って目標とする大学の図書館で勉強していました
(一般に開放されていたのです)
ひねもす頭を使ってクタクタになり
帰ろうとして出口のゲートをくぐると
(ピーッ!ピーッ!)
と作動したセンサー音
(何?俺が重いから?)
と無実の私は
それが盗難チェックのアラームだとも知らずにいたので
係の人が
「本の持ち出しは無いですか?」
と聞いてきた時
(くぅおぅのぉ、アンダラが~、誰に言っとるんじゃイ!)
と心で叫びながら口ではやさしく
「いいえ」
と言うと
何故か横で青ざめている友人
すると突然
ズボンの中に手を突っ込んで
「もしかしてコレかな?」
と言ってぬるく暖まった本を出すのです
(あちゃ~)と思う私
友人は何故か私に向かって言い訳を始めます
「イヤッ、トイレでウンコした時にね、この本が置かれてた訳
それで後で返そうと思って、ここ(ズボン)に入れてたら忘れてた」
お前は「かつしん」か?
と言ってやりたかったです
※「かつしん」は今考えました、スイマセン
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